壮年空手家の下半身強化に最もお勧めしたいのが「四股踏み」と「這い」です。
「這い」とは、意拳の摩擦歩(走歩)のことで、腰を落としてゆっくりと粘り強く歩む練習法です。
盧山初雄師範(現・極真館館長)が、意拳の流れをくむ太氣拳で行われている「這い」を極真空手の練習法の一つとして導入し、数多くの極真世界チャンピオン、全日本チャンピオンを輩出した城南支部でも取り入れられたことで有名になりました。
盧山師範は、ワールド空手97年9月号で、「這い」について次のように語っています。
『這いというのは、人間の土台である下半身を鍛える。つまり格闘技の闘いにおいて必要な下半身を鍛えあげることができる』
這いによる空手への効果としては以下の点があげられるでしょう。
1,下半身の強化
2,重心を保つバランス感覚を養う
3,意識を丹田に落とす
まず、武道家・空手家にとって最も必要な下半身を練ることができる点があげられます。
特に壮年空手家にとって下半身の衰えは最も注意しなければいけないことですから、この一点だけでも行う価値があるトレーニング法です。
さらに、腰を落としてゆっくり移動するので、前後左右に動いても重心を崩すことのないしっかりしたバランス感覚を身につけることができます。
最後に、人間は浮足立つと意識が上に上がってしまい、腰が高くなり、息が上がってしまいます。
それをグッと腰を落として意識を下(丹田)に沈めることで本来の力を出すことができるようになります。
ただし、一朝一夕に身につくものではありませんので、長い時間をかけて鋳型の中に流し込むように、自分の体に記憶させるように行っていくことが必要でしょう。
●這い 参考映像
必要以上に腰を落としたり、ゆっくりやる必要はありません。無理をして膝や腰に痛めたら本末転倒ですから、少し苦しい位で「ちょっとした無理」を重ねていきましょう。
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