「得意ワザを持つ持たないは、人間の”強さ”にとって大きなウェイトを占める」 大山総裁
極真の歴代王者を見ると、皆自分の「決め技」「得意技」「決めパターン」持っています。
それは技であったり、間合いであったり、ステップであったり。
印象深いものだと、
世界大会二連覇の中村師範の「前蹴り」
世界王者の松井館長の「合わせ技」と「上段」
全日本王者の黒澤師範の「奥足への下段」
全日本5回優勝の数見師範の「下段(特に内股)」
挙げれば枚挙にいとまがありません。
「決め技」は何個も持つ必要はありません。
一つか二つでいいでしょう。
「好きな技」ではなく「得意な技」、言葉を変えれば「自分に合った技」であることが望ましいです。
そしてその技は「倒す技」であることが重要です。
この「倒す技」を一つ持つことで、組手の幅が大きく広がります。
私の友人で極真歴10年以上の同年の友人は、身長165cmと小柄ながら、ウェイトをガンガンやっているのでベンチプレスで120kgを軽々と挙げます。
彼の身体的特徴は一言でいうと足が短い。
それもかなり短く、それに加えて体が硬いので、上段は一切蹴りません。
ですがウェイトの効果もあり、上半身・下半身共にかなりの筋肉量、パワーがあります。
彼はひたすら下段の男です。
「下段職人」といっていいくらいです。
とにかく下段を蹴って蹴って蹴りまくります。
それが彼のスタイル。
一方私は、足が長く、地道なストレッチで股関節が軟らかくなった効果で、上段が軽く出せる肉体的特徴があります。
ですから「決め技」は、上段回し蹴りです。
左はちょっと出しにくく、右上段が得意です。
そこで、右上段を決めるために、逆算してその伏線を周到にはることになるわけです。
上で決めるから、相手の意識を下に向けさせる、右で決めるから、左に意識を向けさせる。
色々を考えながら組み立てていくわけです。
それもこれも、「右上段」という「決め技」があるからです。
師範からも『左近さんは上段がいいですね。右が入りますからどんどん蹴っていきましょう』などと青帯頃よりよく言われてきました。
この「決め技」を持つ、作る作業は、ちょうど刀匠が日本刀を鍛錬する作業に似ています。
繰り返し繰り返し技を練るということです。
一日何百本と闇雲に技の練習をやるよりも、一日20本でもいいので、正しいフォームで正確に早く力強く技を出す練習をする。
それを何年も繰り返すのです。
そうすることで、技が自分のものとして溶け込んでいきます。
技を血肉にするのです。
技が真に自分のものになると、スパーリングや試合で相手と打ちあいながら、「この人は右上段が入るな」ということが感覚で分かります。
逆に上段のディフェンスがうまい相手だと「この人には入らない」というのも分かります(その場合は、右上段を入れるためにより工夫が必要になります)。
感覚で入る入らないが分かる位になるまで練りましょう。
「決め技」作りに効果的は方法としては、定期的に動画でチェックでも詳述していますが、自主練で大きな鏡の前で動きをチェックしながらやることです。
また、動画撮影しチェックするのはより効果的です。
そして道場稽古のスパーリング、試合で実践する。その繰り返しです。
また「決め技」を持つと、自分に自信がでます。
自信を持つことは、とても大きな心理的影響を及ぼします。
あなたの身体的特徴は何ですか?
師範や先輩に褒められた技はありますか?
最もしっくりくる技は何ですか?
「決め技」を持ちましょう。
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