『受けということについて言えば、相手の攻撃を直角に受ければ衝撃は大きい。
簡略に言うが、100の力に対し、こちらも100の力で直角にぶつかったら、衝撃は200になる。
しかし、相手が100の力でこちらが0の力(静止している)なら、衝撃は100だ。
こちらの力がマイナス、すなわち相手の力と逆の方向に動けば、衝撃は100以下になる。
さらに、相手の100の力を直角に受けずに、斜めの角度で受ければ衝撃はそれだけ少なくなる。
簡単な理屈だが、なぜこんなことを言うのかというと、私がいつも言っている円を描く組手ということを強調したいためだ。
たえず円を描く動きをしていれば、相手の攻撃を直角(正面)から受けることが少なくなるし、相手の攻撃の力を流すことができる。
「点を起点として円を描く組手」ということを口をすっぱくして言うのは、そこである。
受けるために腕や足を鍛えることも重要だが、そういう組手全体の動きも重要だ。
ついでに言えば「攻撃こそ最大の防御なり」という言葉があり、こちらの方が多く使われるが、逆の「防御こそ最大の攻撃なり」という言葉もある。
難しい理屈は抜きにして、カラテの本質は「防御こそ最大の攻撃なり」である』
マス大山の「正拳一撃」より |