『正拳突きのスピードの鍛錬は、ローソク消しができれば合格である。
ただし、条件が二つある。
ひとつは細いローソクではなく100匁(100号)ローソクであること。
もうひとつ肝心なことは、拳を突いたときではなく、引いたときに消えるようになることである。
従って炎が向こう側へ倒れるのではなくこちら側へ倒れて消えなければならない。
それができてはじめてローソク消しに成功したといえる。
また、密閉した部屋で行うことと、着物の袖が起こす風を排するために上半身は何もつけないで行うことはいうまでもない。
はじめから100匁(100号)ローソクに挑戦しても無理なので、細いローソクから徐々に太くしていくのもいい。
ローソク消しが完全にできるようになった時、拳聖への第一歩を踏み出したといえる。
拳聖とは、まさしく一撃必殺の拳を持つ人のみに与えられる称号である。
そして、その域に達した人がもし人間をたたいたならば、たとえそれ一撃が人体のどこにあたったとしても、その人間は必ず大怪我をする。
そして、牛を一撃で倒すことも可能となる。
これを可能にするのはやはりスピードをつけるのが一番である。』
(月刊パワー空手 1985/11より ) |