『私はね、道場ではこういうことを言うのよ。「もちろん訓練はしなくちゃいけない。だが、佐藤君が、180cmある、そして90kgある。近藤君が、180cm、90kgある。同じ90kg、同じ20歳である、同じ大学で教育を受けた。そして、佐藤君は、Aブロックで出てきた。そして、近藤君はBブロックで出てきた。そして決勝戦ではね、3日間の試合をやって、決勝戦で当たった。どこを見ても、2人ともね、ひけを取らない。しかしチャンピオンは1人しか生まれないわけ。それは何か、ていうとね。頭の相違だよ。頭の相違とは何かというと、相手の動きを読めること、そして、相手の気持ちを読むことが大事だよ。その習練がすなわち極意に繋がるものよ」ということを言うのよ。
じゃあ、どういう習練をすれば、それはできるかと。まず一番大事なのはね、本を読むことだと。本を、いい本をたくさん読んだ人と、読まない人とはね、学問、知識のあるやつはね、良識のあるやつは、どんどんね、限りなく伸びていくんだがね、本を読まないとこれは頭打ちになるよ。なぜかと言うと、心眼、心の眼が見えなくなるよ、と。通常、私たちは心眼という言葉を使う。心の眼が見えなくなるよ』
大山倍達(「武道論」より)
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