40代からの空手道 極真空手の巻 40代からの空手道 〜極真空手の巻〜 キョクシンカラテ  
 
 惻隠の情


2010526

私は5つの支部に所属した経験がありますので、道場で数多くの空手家に出会ってきました。
幸せなことに尊敬できる先輩(極真では年齢ではなく入門の順番、帯が上の人を指す)に大勢出会うことができました。
「尊敬できる先輩」に共通するのが、強さと共に謙虚であること。
そして惻隠の情があるということでしょうか。
わかりやすく言えば、「強さと優しさ」を兼ね備えているということになると思います。

「強さ」と「謙虚さ」は分かりやすいですが、「惻隠の情」も極真空手家に必須の要件でしょう。
「惻隠の情」は、孟子の言葉から由来しています。
「公孫丑・上」にあります、「惻隠の心は仁の端なり」
「惻隠の情」とは、「敗者への共感」「劣者への同情」「弱者への愛情」をいい、それは「仁」であるということです。

極真空手は「実力偏重の世界」です。
ですが、そこに「惻隠の情」がなければ、武道ではなくなってしまいます。

例えば通常の道場稽古のスパーで、強い黒帯が入門間もない白帯にガチンコで攻撃しケガをさせたとしたら、これは武道ではなくなってしまいます。
ケンカもしくは暴力です。
黒帯は自分よりはるかな下位者に、ケガをさせてはいけません(試合は除く)。
そこは相手の実力を見極めて、自分の力をコントロールする必要があるわけです。

しかしどの世界にもいますね。
今風の言葉でいうと「KY」な人。

師範(責任者)がスパーの始まる前に、
『むきになってやらないように!軽めのスパーです!いいですかー!』
『押忍!』
と言っているのも変わらず、ガチンコでやる人がいます。
こういう人は初級者に多い傾向で、自分に余裕がないんですね
。また相手への恐怖心もあり、必要以上に必死になって相手に向かっていくわけです。
これは過剰な自己防衛本能といえるでしょう。
師範の『軽めに』の言葉がまったく耳に入っていません。
また、自分の力加減も理解していませんし、想像力が欠如しています。
ただ初級者だから仕方がない面もあります。

ですが茶帯、黒帯になったら仕方がないでは済みません。
武道である以上、心の修養が肝要です。
それを怠る者は、黒帯を締める資格はないでしょう。

極真空手家に「惻隠の情」は必須です。



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