私の下段蹴りは、今大会で使用されているスネで相手の太モモを狙う蹴りとは異なる。
まず、狙う部分は太モモではなく、左ヒザの横の神経の通っている部分だ。
この急所に当たると腰までしびれて相手は立つことができなくなる。
ただしこの部分を狙うにはスネではなく、足先。
正確には甲の内側で蹴る。
スネが鎌の柄なら、甲の内側は刃の部分である。
ヘッドの先を走らせるように蹴らないと、この部分は狙えない。
蹴り方は構えから、左掌底でフェイントしながらふみ込み、足先を送らせて鎌の刃がまきつくように蹴る。
盧山初雄師範
(極真第5回全日本大会王者。”ローキックの盧山”と異名をとった極真屈指の下段回し蹴りの使い手)
ウエイトトレーニングは大事だと思うんですけど、なんか強引に1kgでも2kgでも重いものをあげれば、例えばスクワットの重量アップイコール下段回し蹴りの破壊力が増すというのは違うと思いますね。
蹴り方でも蹴る時にサッカーボールを蹴るように蹴り上げるんじゃなく、面に対して垂直に蹴る。
いくらスクワットが20kg多くあげるようになってもバランスの悪い状態で蹴ったり、ロスがある蹴りをすれば何の意味もなくて、例えばスクワットが200kgの人がバランス悪く蹴るようりスクワット180kgの人が正しい形で相手に伝わるフォームだとか、バランスよく蹴る方がよっぽど相手にダメージを与えられるわけです。
〜中略〜
下段回し蹴りのための鍛え方といえば、パワーはある程度の重さで腰に負担をかけないフォームでスクワット、付随してレッグカール、レッグエクステンションもやり、足の弱いところがないようにバランス良くを心がけました。
やはり万遍なく刺激を与えるということが大事ですね。
黒澤浩樹師範
(極真第16回全日本大会王者。”格闘マシーン”と異名をとった極真屈指の下段回し蹴りの使い手)
試合になると、ついつい速く蹴ろうとしてストロークが小さくなってしまいがち。
外側から回すように軌道を大きくとり、中段回し蹴りを蹴るようなモーションから、脚に向かって一気に打ち下ろす。
下段回し蹴りは背足(甲)、足首、スネのいずれかを当てていくが、私は背足で蹴ることが多かった。
蹴る際、つま先が当たらないように、相手との距離をしっかり把握しておく必要がある。
脚の外側を蹴る場合はヒザ上か脚の付け根、内股を蹴る場合はヒザ付近を狙って蹴る。
筋肉が細くなっている部分は、速くダメージが表れるので効果的である。
数見肇師範
(極真第25・28・29・30・34回全日本大会王者。極真屈指の下段回し蹴りの使い手)
自分の下段蹴りの種類は2つである。
(a)下からすり上げる蹴り
(b)真横から当てる蹴り
の2種類である。
また軸足は腰の回転と共に移動するが、(a)は上下運動の為に小さく、(b)は回転運動であるので大きくなる。
また、蹴りを狙う部位は大きく分けて3つある。
相手がオーソドックスの場合、
@相手の左前足内側
A相手の左前足外側
B相手の右奥足外側
その3つのヒットポイントを狙う。
また蹴りを放つ間合いだが、基本は足先から足首上部がヒットするミドルの間合いである。
しかし接近戦のショートレンジのパンチの打ち合いでの内股への(a)下からすり上げる蹴りは有効である。
〜中略〜
組手では、まず相手の腰の高さを見る。
低い構えは倒しにくい。
また、完全に足を浮かせた状態も効かない。
蹴りの力を吸収していまうからである。
相手がどのような状態の時に蹴れば効くのかを把握しておかねばならない。
経験から言うと、一つは、蹴り合いの中でダメージが蓄積して腰が浮き上がってきた所。
二つめは、相手が膝ブロックして浮かした足を、再び地に置きつつ体重をかけた所。
この二つの状態の時に倒れることが多かった。
膝に近いスネの部分では倒れにくく、足先から足首上部までの部位は倒れやすい。
足先に近づくほどスピードが速いからである。
自分はこの部位で蹴る為にミドルの間合いで戦うことを心掛けた。
当ててから、さらに力をぶち込むフォロースルーは倒す為に重要である。
相手の足の中心を蹴るつもりで蹴るとよい。
大西靖人氏
(極真第15回全日本大会王者。極真屈指の下段回し蹴りの使い手)
※参考書籍
もののふの血/数見肇
他
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