『「武の道においては千日をもって初心となし、万日の稽古をもって極とす」
これは、私の考えだした言葉ではない。古くからいわれている言葉に感動して、自分の座右の銘としたものである。万日といえば、三十年近い歳月である。そのころの私はまだ三十年には至っていなかったが、ちょうど現役引退近く、雑務に追われて稽古ができない時期があると、体が弱ってくることを痛感していた。そして、稽古をしばらくすると、また元に戻る。体だけでなく、精神についても同じことがいえた。
武道は、人間の精神のためにある。ということを痛感したのも、この時期である。だから、この「万日の稽古をもって極とす」という言葉が、ひしひしとわかった』
大山倍達(「極真の精神」より)
|