『武術では、いつでも最大の効果が身体の動きとつながっているように、意・力・動作がつねに絡み合い、結果として最大の効果ある動きができるように訓練しています。このために、考えられたのが丹田である。ハラである。
ここに力の籠っているときに、最も効果的な力、動きが得られるから、いつもここに力点があるようにして訓練する。呼吸法をしたり、三戦のような内に引き絞るような立ち方をするのもこのためである。
この丹田に力が籠った状態は、いつも効果的な動きを可能とするとともに、様々の感情や欲望によって動きにくい中心を作りだす。
このために、精神が丹田にあるようにせよというのである。何かを断固として行っているときは、誰でもこの丹田に力が入っている。
したがって、カラテを完全にマスターした者は、たいてい世の中でも成功している。勇気もあれば、いつでも泰然自若としており、そのうえ事があるときには、誰よりも早く行動するのである。
カラテの技に絞っていえば、つねに、精神が丹田にあれば、自ずと武術の技も丹田から出て手先、足先にスムーズに及ぶ結果となる。基本の突き、蹴り、受け、三本組手などは、丹田に力をこめつつやるようになっているのである。その意味でも、基本が大切である』
大山倍達(「極真の精神」より)
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