ストレッチングとは、筋肉や腱を引きのばすことです。運動を始める前の準備運動(ウォーミングアップ)として、運動を行った後の整理運動(クールダウン)として、あるいは関節可動域を広げるための柔軟体操として多くの場面で行われています。
ストレッチングの効用
■柔軟性の向上
柔軟性とは、一般に関節の可動範囲(関節可動域)のことを意味します。関節可動域を広げるには、関節にまたがる筋肉や腱を伸ばすストレッチングが有効です。
■スポーツ傷害の予防と治療
同じ動作を繰り返すような運動では同じ筋肉ばかりを使うため、その筋肉が疲労して弾性を失ってかたくなります。ストレッチングで疲労しやすい筋肉を重点的に伸ばすと、傷害の発生を予防する効果があります。
■疲労回復および筋肉痛の予防・軽減
激しい運動をすると、筋肉中に乳酸が発生します。乳酸が蓄積すると筋肉の活動を阻害し、筋肉中の血液循環を低下させます。その結果、筋肉が張る、だるい、よく動かないなどの疲労感を感じることになります。ストレッチングには、伸張・弛緩を繰り返して筋肉の伸展性を改善したり、筋肉中に蓄積された疲労物質の除去を助けて疲労をやわらげたりする効果があります。
実践上のポイント
■ストレッチングの前にできるだけ筋温を高めておく
筋肉は冷えた状態だと伸縮しにくいので、ストレッチングの前に軽い運動(ウォーキングやジョギング)を行い、身体を温めておきます。
■反動を使わずにゆっくり伸ばす
弾みをつけたストレッチングは伸張反射を促し、逆に筋肉が緊張してしまうことがあるので、ゆっくり伸ばします。
■呼吸は止めずにゆったりと自然に呼吸する
ゆったりと呼吸することにより血圧や心拍数の過度の上昇を避けられます。
■強い痛みを感じない範囲で最大限に伸ばし、しばらく保持する
強い痛みは筋肉を痛めたり、反射的な筋肉の緊張を起こす原因になります。心地よく筋肉を伸ばした状態で、10〜30秒間保つことが必要です。
■軽いストレッチングから始める
最初は軽くて楽なストレッチングから始め、除々に強度を上げていくのが安全で効果的です。
■ストレッチしている筋を意識する
目的としている筋肉を常に意識しながら行うと、ストレッチングの効果があがるだけでなく、神経系との関係にもよい影響を与えます。
以上のような点を考慮してストレッチングを行いましょう。
参考文献:「スポーツ選手のためのからだづくりの基礎知識」 等
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