40代からの空手道 極真空手の巻
 
 
 


空手研究メモ トップ

 



   極真空手のねじ込む突きとボクシングのコークスクリューパンチ

2014年5月16日

先日、「ゴッドハンド語録」で、大山総裁の「殴るのではない。 突くのでもない。ねじ込め」という言葉をご紹介しました。

この「ねじ込む」ということは、頭では理解できますが、いざ実践となるとなかなか難しいものがあります。

基本稽古ではいつもやっているにも関わらず、組手になるとそれができているかというと、自分自身できていないことがほとんどではないかと思います。

基本稽古での正拳中段突き(上段突き)では、脇の下に引いた引手は手の甲は下を向いています。
そこから正拳を出す際、肘が体の前にくるあたりから拳に捻りを加え、最終的には手の甲を上にして突き出します。
つまり、ねじ込むわけです。

ところが、組手になるとこの「ねじ込む」は、そうそうできるものではありません。

大山総裁は、「正拳一撃」の中で、門下生の質問に次のように回答しています。

『試合で出す選手の突きは、ひねらないで突いているように見えるが、それぞれがそれなりに
ひねっている。
選手の技量や経験によって程度の違いはあっても、
ひねっている。
ただ、小指と薬指に力を入れるのは、難しいようだ。
稽古のときにはできても、いざ試合ということになると、なかなかできない。
丹田、三角筋と力を入れて、小指と薬指に力を入れて突けば、それこそ一発で倒すことができる。
しかし、試合ということになるとどうしても肩に力が入っています。
肩に力を入れて、腕だけで叩くから、いくら叩いても相手が倒れないのだ』



やはり選手クラスでも、大山総裁が言う「ねじ込む」の程度に差があるということです。

「ねじ込む」突きについて考えていたとき、たまたま観ていたテレビ番組で、あるボクシング選手が特集されていて、その内容に驚きました。

ここ最近、日本のボクシング界には、次々と強い世界チャンピオンが誕生しています。
山中慎介(WBC世界バンタム級王者)、井岡一翔(WBA世界ライトフライ級王者)、井上尚弥(WBC世界ライトフライ級王者)等。

中でも管理人が一番注目しているのは、同じサウスポーということもありますが、WBC世界バンタム級王者としてすでに6度の防衛に成功している山中慎介選手です。
山中選手の”神の左”と異名をとる左のストレートは圧巻です。

先述のテレビ番組で、この山中選手の”神の左”を解明していたのです。
山中選手の左ストレートは、他のボクシング選手のストレートは大きく異なります。
それが「ねじ込む」パンチです。

これをボクシング界では、「
コークスクリューパンチ(コークスクリュー・ブロー)」と呼びます。

「コークスクリューパンチ」と言えば、40代以上の方ならピンとするでしょう。
そうです。
「あしたのジョー」で、最強の世界チャンピオン・ホセ・メンドーサの必殺パンチ。
劇中、このパンチでホセはカーロス・リベラを廃人に追い込みました。

この「コークスクリューパンチ」とは、漫画の中のフィクションの技ではないのです。
発案者は、アメリカの元世界ミドル級チャンピオンのキッド・マッコイで、他にもあのモハメド・アリが、対ソニー・リストン第2戦で、リストンから一見不可解なダウンを奪った後に、アリが『俺のコークスクリューが効いた』と語ったというエピソードもあります。

山中選手は、この「コークスクリューパンチ」を完璧に使いこなし、次々と強豪選手をマットに沈めているのです。


テレビ番組で解説されていた画像をご紹介します。


▲山中選手とトレーナー



▲トレーナーのミットに左ストレートを打ち込む山中選手



▲山中選手のパンチを受けているミット



▲注目です。
右のパンチを受けているミットは無傷できれいなままなのに対して、左のパンチを受けているミットはボロボロ。
しかもよく見て頂きたいのですが、拳頭が当たる部分2ヶ所が強くはげ落ちています。
つまり、山中選手の左ストレートは、拳頭部分が対象物に的確に当たっていることが分かります。



▲山中選手のトレーナーは、山中選手のパンチの独自性を語っています。



▲山中選手の左ストレートは、ねじ込むようにして拳頭部分が食い込むように打っています。



▲山中選手の左ストレートが「ねじ込む」パンチということがはっきりと分かる写真。
大きくねじ込んでいます。
これが、山中選手の”神の左”と呼ばれる左ストレート「
コークスクリューパンチ(コークスクリュー・ブロー)」です。


2014.3.22 OAの日本テレビ「
Nippon Pride」という番組の中で、山中選手は自分のパンチについて次のように語っています。

「拳を遠くへねじ込む」

山中選手の左ストレートは、下半身の力を上に効率よく伝え、その力が最終的に人差し指と中指の拳頭部分に固定した下の力を伝えて、ねじ込むように遠くまで届かせるイメージで打っているとのことでした。

拳頭を強く意識しているというところが空手と共通しています。

以上、フルコンタクト空手の正拳突き(パンチ)の参考になれば幸いです。


※空手とボクシングの突き(パンチ)の出し方は異なる場合が多いです。
ここではあくまで、山中選手のパンチが「ねじ込む」ということと「拳頭を当てる」という、空手の突きと共通点があるので、その点をもとに参考事例としてご紹介しました。
その点をご了承下さい。

※無理をすると手首を痛める可能性がありますから、注意して下さい。


 


40代からの空手道 〜極真空手の巻〜
トップページに戻る



 
  このホームページに掲載されている記事・写真・図表などの無断転載を禁じます。